給付基礎日額


給付基礎日額

給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とする。給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。」

つまり、給付基礎日額は、平均賃金と同様の方法で算定するが、1円未満の端数については、これを1円に切り上げて算定する。

給付基礎日額の特例

給付基礎日額には、以下に述べる特例が設けられている。

  1. 私傷病休業者等の特例
  2. じん肺患者等の特例
  3. 船員の特例
  4. 自動変更対象額の特例

1. 私傷病休業者等の特例

平均賃金相当額(給付基礎日額)の算定期間中に「業務外の事由による負傷又は疾病の療養のために休業した期間」や「親族の疾病又は負傷等の看護のため休業した期間」がある場合は、そのまま平均賃金相当額を算定すると、給付基礎日額が低くなるおそれがある。そこで、このような休業を行う場合は、その休業期間中の日数や賃金を算定基礎から除外して算定した平均賃金相当額を、給付基礎日額として最低保障する。

2. じん肺患者等の特例

労働者が、「じん肺」又は「振動障害」にかかった場合は、通常、疾病の発生が確定する前に作業・業務の転換が行われ、それに伴い賃金水準も低下することがあるため、そのまま平均賃金相当額を算定すると、給付基礎日額が低くなるおそれがある。そこで、このような労働者の場合は、作業転換前の期間で算定した平均賃金相当額を、給付基礎日額として最低保障する。

3. 船員の特例

1年を通じて船員として船舶所有者に使用される者の賃金について、基本となるべき固定給のほか、船舶に乗り組むこと、船舶の就航区域、船積貨物の種類等によって変動がある賃金が定められる場合などには、そのまま(算定期間3か月で)平均賃金相当額を算定すると、その算定事由が発生した時期によって給付基礎日額が著しく変動してしまう。そこで、このような場合には、算定事由発生日以前1年間について算定することとした場合における平均賃金相当額を給付基礎日額とする。

4. 自動変更対象額の特例

「平均賃金相当額が自動変更対象額(4,250円)に満たない場合には、自動変更対象額(4,250円)とする。」とされ、給付基礎日額は、4,250円が最低保障される。

複数事業労働者の給付基礎日額

複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の2以上の事業の業務を要因とする事由又は複数事業労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により、当該複数事業労働者、その遺族又は葬祭を行う者に対して保険給付を行う場合における給付基礎日額は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として政府(所轄労働基準監督署長)が算定する額とする。

自動変更対象額の変更

「厚生労働大臣は、年度の平均給与額が直近の自動変更対象額}が変更された年度の前年度の{{平均給与額を超え、又は降るに至った場合においては、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。厚生労働大臣は、自動変更対象額を変更するときは、当該変更する年度の7月31日までに当該変更された自動変更対象額を告示するものとする。」

自動変更対象額は、毎年、賃金スライド改定が行われている。

給付基礎日額のスライド

年金たる保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額(「年金給付基礎日額」)のスライド改定は、「算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以後の分として支給する年金たる保険給付」に係るものについて行われる。

当初の年金給付基礎日額に、その年のスライド率(「年金たる保険給付を支給すべき月の属する年度の前年度(当該月が4月から7月までの月に該当する場合にあっては、前前年度)の平均給与額」を「算定事由発生日の属する年度の平均給与額」で除して得た率を基準として厚生労働大臣が定める率)を乗じて得た額を、新たな年金給付基礎日額として、毎年改定していく。

年金給付基礎日額のスライド改定は、休業給付基礎日額のスライド改定のように一定率の上昇・下降を要件として行われるのではなく、毎年度、変動した比率に応じてスライド率を定める完全自動賃金スライド制が導入されている。

一時金の給付基礎日額のスライド

一時金たる保険給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額についても、年金給付基礎日額と同様のスライド改定が行われる。

年齢階層別の最低限度額・最高限度額

労災保険の保険給付は、長期にわたって行われる場合があるため、平均賃金が低額な若年時に被災した労働者の保険給付の額が生涯にわたって低い額に据え置かれたり、逆に、平均賃金が高額な壮年時に被災した労働者の保険給付の額が老年に達してもなお高額のまま据え置かれたりすると、被災時の年齢による不均衡が生じることがある。

そこで、この不均衡を是正するため、給付基礎日額を年齢階層別に定めた最低限度額・最高限度額(「最低・最高限度額」)の範囲内に収めることとしている。

休業給付基礎日額に係る最低・最高限度額の適用

療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日について支給される休業(補償)等給付に係る休業給付基礎日額については、年齢階層ごとに定められた最低・最高限度額の適用を受け、その範囲内に収められる。

具体的には、休業(補償)等給付を受ける労働者の各四半期の初日(基準日)ごとの年齢を年齢階層に当てはめ、その者の休業給付基礎日額がその年齢階層の最低限度額を下回る場合には最低限度額を休業給付基礎日額とし、逆に、その年齢階層の最高限度額を上回っている場合には最高限度額を休業給付基礎日額とする。

スライド改定が行われた場合は、スライド改定後の給付基礎日額について最低・最高限度額が適用される。

年金給付基礎日額に係る最低・最高限度額の適用

年金たる保険給付を受給している者の年金給付基礎日額については、その当初から、年齢階層ごとに定められた最低・最高限度額の適用を受け、その範囲内に収められる(最低・最高限度額は、休業給付基礎日額で用いるものと同様)。

具体的には、年金たる保険給付を受ける労働者の毎年8月1日(基準日)ごとの年齢(遺族補償等年金を支給すべき場合にあっては、労働者の死亡がなかったものとして計算した場合に得られる当該労働者の毎年8月1日(基準日)ごとの年齢)を同日から1年間の年齢として、これを年齢階層に当てはめて適用する。

①労働者が死亡した場合に、遺族の年齢を年齢階層に当てはめるわけではない。 ②一時金の給付基礎日額には、年齢階層別の最低・最高限度額は適用されない。

ミニテスト

0/10問回答済み
Q1. 給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とされるが、1円未満の端数がある場合の取扱いとして正しいものはどれか。
Q2. 給付基礎日額における自動変更対象額の最低保障額として正しいものはどれか。
Q3. 自動変更対象額の変更に関する記述として正しいものはどれか。
Q4. 複数事業労働者の給付基礎日額に関する記述として正しいものはどれか。
Q5. 年金給付基礎日額のスライド改定が行われる時期として正しいものはどれか。
Q6. 休業給付基礎日額に係る年齢階層別の最低・最高限度額が適用される時期として正しいものはどれか。
Q7. 休業給付基礎日額に係る年齢階層別の最低・最高限度額の適用において、基準日として正しいものはどれか。
Q8. 年金給付基礎日額に係る年齢階層別の最低・最高限度額の適用に関する記述として正しいものはどれか。
Q9. 年金給付基礎日額に係る年齢階層別の最低・最高限度額の適用における基準日として正しいものはどれか。
Q10. 遺族(補償)等年金を支給する場合の年齢階層別の最低・最高限度額の適用に関する記述として正しいものはどれか。