労働基準法の基本原則
今回のテーマは、労働基準法の「基本原則」(総則)だ。どのように「労働者を守る」かを決めるための大原則が、労働基準法の冒頭には記述されている。
第一条「労働条件の原則」では、労働基準法が定める基準は「{{最低}}」のものであることが明記されている。この基準を下回ることは許されないし、むしろ「{{向上}}」させていくことを目指さないといけない。
それでは「労働条件」とは何だろう?
労働者には必ず、雇われている「使用者」がいる。使用者と労働者の間で交わされる、賃金や労働時間などの取り決めが労働条件だ。第二条によると、労働条件は{{対等の立場}}で決められなくてはならない。
しかし一般に、使用者は労働者よりも力関係において優位に立ちやすい。そこで労働条件を決めるにあたって、守らなければならないルールが定められている。
第三条に記されているのが「{{均等待遇}}」だ。労働条件について、労働者への差別的な取り扱いは許されていない。もちろん、部長と平社員の給料が違うのは普通のことだよね。ここで「均等」が求められているのは{{国籍}}、{{信条}}、{{社会的身分}}の三つだ。
国籍について言えば、例えば外国人だからという理由で、日本人との間に給料の差を設けてはならない。「信条」は一般的に、宗教や政治に関するもの。「社会的身分」とは、例えば被差別部落出身であるといったような、当人にとってどうしようもない事柄のことだ。
{{男女同一賃金}}は、第四条に明記されている。労働者が女性であることを理由に、賃金について、男性と差別的取り扱いをしてはならない。
続く第五条には{{強制労働の禁止}}が定められている。現代では取り立てて言うことじゃないようにも思えるけど、こういうところに労働基準法が成立した時代背景が見え隠れしている。「使用者は、{{暴行、脅迫、監禁}}その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」
第六条「中間搾取の排除」も、今では一般的にあまり考えられないことだ。「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」「法律に基いて許される場合」というのは、例えば有料職業紹介などだ。労働者派遣についても、「他人の就業に介入したことにはならない」と解釈されている。
労働基準法の第一章「総則」の最後に記されているのが第七条、「公民権行使の保障」だ。パッと見た感じでは分かりづらいけど、公民権とは国民が政治に参加する権利などを指す。つまり使用者は、労働時間中に選挙権などを行使したり、裁判の証人として出廷するなどの権利を労働者が請求した場合、拒むことができない。
だからといって、選挙に行ってる間の給料が必ず出ると言うことではないよ。あくまで「拒むこと」が禁止されている。もっとも、現在では選挙は日曜日に行われることが多い。有権者の多くが休日であることに加え、投票所を設置する学校なども休みなので、開催しやすいのがその理由みたいだ。