被保険者等


被保険者とその種類

「雇用保険法において被保険者とは、適用事業に雇用される労働者であって、適用除外に該当しないものをいう。」

雇用保険の被保険者には、65歳未満の一般労働者である「一般被保険者」と、65歳以上の一般労働者である「高年齢被保険者」、季節労働者である「短期雇用特例被保険者」及び日雇労働者である「日雇労働被保険者」の4種類がある。

一般被保険者

被保険者であって、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者以外のものを一般被保険者という。

高年齢被保険者

65歳以上の被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)を高年齢被保険者という。一般被保険者は、65歳に達すると高年齢被保険者に切り替わる。

65歳以後に新たに適用事業に雇用された者も高年齢被保険者となる。

次の1-3のいずれにも該当する者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に申し出て、当該申出を行った日から高年齢被保険者となることができる。

  1. 2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること
  2. 1の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20時間未満であること
  3. 2の事業主の適用事業(申出を行う労働者の1の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が5時間以上であるものに限る)における1週間の所定労働時間が20時間以上であること

後述するように、同時に2以上の雇用関係にある労働者は、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1の雇用関係についてのみ被保険者となり、その1の雇用関係について週の所定労働時間が20時間以上であることなどの要件を満たす必要があるが、65歳以上の者については、特例として、1週間の所定労働時間がそれぞれ5時間以上の2の雇用関係について、その合計が20時間以上である場合等には、その者の申出により、高年齢被保険者となることができるというもの。この規定により高年齢被保険者となる者について、、特に区別をする必要があるときは、「特例高年齢被保険者」と記載する。

短期雇用特例被保険者

被保険者であって、季節的に雇用されるもののうち次のいずれにも該当しない者(日雇労働被保険者を除く)を短期雇用特例被保険者という。

  1. 4か月以内の期間を定めて雇用される者
  2. 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者

「季節的に雇用される者」であって、「4か月以内の期間を定めて雇用される者」又は「1主観の所定労働時間が30時間未満である者」であっても、日雇労働被保険者となることがある。

短期雇用特例被保険者が、同一事業主に引き続いて1年(基本手当の受給要件の緩和が認められる期間(疾病、負傷等により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間)を除く)以上雇用されるに至ったときは、その1年以上雇用されるに至った日(切替日)以後、次のような扱いになる。

  1. 切替日に65歳未満の者は、一般被保険者となる
  2. 雇入れ日に65歳未満であったが、切替日に65歳以上である者は、高年齢被保険者となる
  3. 雇入れ日に65歳以上の者は、切替日に高年齢被保険者となる

日雇労働被保険者

被保険者である日雇労働者(日々雇用される者又は30日以内の期間を定めて雇用される一定の者)であって、次のいずれかに該当するものを日雇労働被保険者という。

  1. 適用区域に居住し、適用事業に雇用される者
  2. 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
  3. 適用区域外の地域に居住し、厚生労働大臣が指定する適用区域外の地域にある適用事業に雇用される者
  4. 上記1-3の者のほか、日雇労働被保険者の任意加入の申請をし、公共職業安定所長の認可を受けた者

日雇労働者は、前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された場合又は同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用された場合は、原則として日雇労働者として扱われなくなり、所定の要件を満たしている限り、一般被保険者、短期雇用特例被保険者又は高年齢被保険者となる。

ただし、日雇労働被保険者である日雇労働者が、日雇労働被保険者資格継続認可申請書に日雇労働被保険者手帳を添えて、当該事業所の事業主を経由して提出し、公共職業安定所長の認可を受けたときは、その者は、引き続き日雇労働被保険者となることができる。

30日以内の期間を定めて雇用される者も日雇労働被保険者となることがある。

適用除外等

次に掲げる者については、原則として、雇用保険法は適用しない(つまり、被保険者とならない)こととされる。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間未満である者(特例高年齢被保険者及び日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く)
  2. 同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者(前2月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び日雇労働者であって日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く)
  3. 季節的に雇用される者であって、次のいずれかに該当するもの(日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く)①4か月以内の期間を定めて雇用される者②1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者
  4. 学校教育法に規定する学校、専修学校又は各種学校の学生又は生徒であって、一定の者(いわゆる昼間学生等)
  5. 船員であって、漁船(政令で定めるものに限る)に乗り組むため雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く)
  6. 都道府県市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であって、一定のもの

都道府県等又は市町村等の事業に雇用される者について、雇用保険の適用除外の承認の申請がなされた場合には、その「承認の申請がなされた日」から当該者には雇用保険法を適用せず、承認しない旨の決定があったときは、その「承認の申請がなされた日」にさかのぼって雇用保険法を適用する。

被保険者の範囲

①役員等

個人事業主法人の代表取締役、合名会社や合資会社の代表社員は被保険者とならない。

株式会社の取締役、合名会社や合資会社の社員は、同時に会社の部長や支店長等の従業員としての身分を有し、報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係があると認められるものに限り、被保険者となる。

②家事使用人

家事使用人も被保険者とならないが、適用事業に雇用されて主として家事以外の労働に従事することを本務とする者は、家事に使用されることがあっても、被保険者となる。

③パートタイム労働者等

パートタイム労働者や登録型派遣労働者についても、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、かつ、同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれる場合は、被保険者となる。

④2以上の事業主に雇用される者

同時に2以上の雇用関係にある労働者は、特例高年齢被保険者に該当する場合を除き、その者が「生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1の雇用関係」についてのみ被保険者となる。

⑤国外就労者

海外に出張する場合はもちろんのこと、海外に出向する場合であっても、出向元事業主との雇用関係が継続している限り、被保険者となる。

現地で採用される者は、国籍のいかんにかかわらず被保険者とならない。

⑥在日外国人

日本国に在住する外国人は、外国公務員及び外国の失業補償制度お適用を受けていることが立証された者を除き、国籍(無国籍を含む)のいかんを問わず、原則として被保険者となる。

⑦長期欠勤者

労働者が長期欠勤している場合であっても、雇用関係が存続する限り、賃金の支払を受けていると否とを問わず被保険者となる。

被保険者資格の確認

資格の取得及び喪失の確認

厚生労働大臣(公共職業安定所長に権限委任)は、日雇労働被保険者の場合を除き、次の事由に基づき、労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認を行うものとされる。

  1. 事業主からの届出
  2. 被保険者又は被保険者であった者の請求
  3. 職権

被保険者又は被保険者であった者は、日雇労働被保険者又は特例高年齢被保険者の場合を除き、いつでも、被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認を請求することができる。

確認の通知

公共職業安定所長は、労働者が被保険者となったこと又は被保険者でなくなったことの確認をしたときは、その旨を当該確認に係る者及びその者を雇用し、又は雇用していた事業主に通知しなければならない。(この当該確認に係る者に対する通知は、当該事業主を通じて行うことができる)

公共職業安定所長は、確認に係る者又は事業主の所在が明らかでないために通知をすることができない場合には、公共職業安定所の掲示場に、通知事項を記載した文書を掲示しなければならない。

適用事業に関する届出

適用事業所設置(廃止)届

事業主は、事業所を設置したとき、又は事業所を廃止したときは、適用事業所設置(廃止)届を、その設置又は廃止の日の翌日から起算して10日以内に、所轄公共職業安定所(事務所の所在地を管轄する公共職業安定所)の長に提出しなければならない。

事業主事業所各種変更届

事業主は、その氏名若しくは住所又は事業所の名称及び所在地若しくは事業の種類に変更があったときは、事業主事業所各種変更届を、その変更があった日の翌日から起算して10日以内に、所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

事業主とは、法人の場合はその法人をいうので、代表取締役の異動があっても変更届を提出する必要はない。

代理人選任・解任届

事業主は、代理人を選任し、又は解任したときは、代理人選任・解任届を、当該代理人の選任又は解任に係る事業所の所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

日雇労働被保険者以外の被保険者に関する届出

資格取得届

事業主は、その雇用する労働者が被保険者となったときは、当該事実のあった日の属する月の翌月10日までに、雇用保険被保険者資格取得届を所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

被保険者に関する届出等の雇用保険の事務処理については、たとえ徴収法の規定による継続事業の一括の許可を受けている場合であっても、各事業所単位で行わなければならない。

公共職業安定所長は、被保険者となったことの確認をしたときは、その確認に係る者に、原則として当該被保険者を雇用する事業主を通じて、雇用保険被保険者証を交付する。

転勤届

事業主は、その雇用する被保険者を当該事業主の一の事務所から他の事務所に転勤させたとき(同一の公共職業安定所の管内での転勤を含む)は、当該事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、雇用保険被保険者転勤届を、転勤後の事業所の所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

個人番号変更届

事業主は、その雇用する被保険者の個人番号が変更されたときは、速やかに個人番号変更届を所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

資格喪失届

事業主は、その雇用する労働者が被保険者でなくなったときは、当該事実のあった日(資格喪失日)の翌日から起算して10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届を所轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

被保険者は、次の日に被保険者資格を喪失する。

  1. 死亡したときは、その日の翌日
  2. 離職したときは、その日の翌日(ただし、離職した日に新たに被保険者資格を取得すべき場合は、被保険者であった期間の重複を避けるため、離職した日に、従前の雇用関係に基づく被保険者資格を喪失する)
  3. 雇用される適用事業の雇用保険に係る保険関係が消滅したときは、その日
  4. 被保険者としての適用要件に該当しなくなったとき(被保険者として取り扱われない取締役や1週間の所定労働時間が20時間未満となった場合など)は、その日

離職証明書の添付等

被保険者が離職した後、基本手当を受けるためには、公共職業安定所に出頭し、雇用保険被保険者離職票}を提出しなければならない。そして、この{{離職票は、事業主が作成する雇用保険被保険者離職証明書に基づき、公共職業安定所長が作成し、当該離職者に交付する。このため、事業主は、離職者が離職により被保険者の資格を喪失したときは、原則として、資格喪失届に離職証明書を添えなければならない。

死亡、在籍出向、出向元への復帰など、被保険者でなくなったことの原因が離職でない場合には、資格喪失届に離職証明書を添付する必要はない。

次の就職先が決まっている場合などのように、資格喪失届を提出する際に、被保険者が、離職票の交付を希望しない場合もある。この場合は、その被保険者が「離職の日において59歳以上」である場合を除き、資格喪失届に離職証明書を添えないことができる。ただし、事情が変わって、当該離職者が離職票の交付を請求するため離職証明書の交付を求めたときは、事業主は離職証明書をその者に交付しなければならない。

基本手当の受給資格がない場合であっても、また、懲戒解雇により離職の場合であっても、離職証明書を添付(交付)しなければならない。

離職票の交付

公共職業安定所長は、資格喪失届により被保険者でなくなったことの確認をした場合であって、事業主が当該資格喪失届に離職証明書を添えたときは、離職票を、原則として事業主を通じて、離職したことにより被保険者でなくなった者に交付する。

公共職業安定所長は、次の場合には、離職票を、離職したことにより被保険者でなくなった者に、直接交付しなければならない(事業主を通じて交付することはできない)。

  1. 資格喪失届により被保険者で亡くなったことの確認をした場合であって、当該被保険者であった者から離職証明書を添えて請求があったとき
  2. 確認の請求により、又は職権で被保険者でなくなったことの確認をした場合であって、当該被保険者であった者から離職証明書を添えて請求があったとき

日雇労働被保険者に関する届出

資格取得届

日雇労働者は、日雇労働被保険者となる要件を満たしたときは、その要件を満たすに至った日から起算して5日以内に、日雇労働被保険者資格取得届を管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

任意加入申請書

日雇労働者は、任意加入の認可を受けようとするときは、管轄公共職業安定所に出頭し、日雇労働被保険者任意加入申請書を管轄公共職業安定所の長に提出しなければならない。

電子申請の義務

次の届出書の提出や支給申請(4及び5については、事業主を経由して提出する場合に限る)は、特定法人にあっては、原則として、電子情報処理組織を使用して行うものとされる。

  1. 雇用保険被保険者資格取得届
  2. 雇用保険被保険者転勤届
  3. 雇用保険被保険者資格喪失届
  4. 高年齢雇用継続基本給付金の支給申請
  5. 育児休業給付の支給申請
  6. 出生後休業支援給付金の支給申請
  7. 育児時短就業給付金の支給申請

ミニテスト

0/10問回答済み
Q1. 雇用保険の被保険者の種類について、正しいものはどれか。
Q2. 高年齢被保険者に関する記述として、誤っているものはどれか。
Q3. 短期雇用特例被保険者に関する記述として、正しいものはどれか。
Q4. 日雇労働被保険者に関する記述として、正しいものはどれか。
Q5. 雇用保険の適用除外に関する記述として、誤っているものはどれか。
Q6. 被保険者の範囲に関する記述として、正しいものはどれか。
Q7. 被保険者資格の確認に関する記述として、誤っているものはどれか。
Q8. 適用事業に関する届出について、正しいものはどれか。
Q9. 資格取得届に関する記述として、正しいものはどれか。
Q10. 離職証明書の添付に関する記述として、誤っているものはどれか。